3 東群の寺院
■東群の寺院の配置


東群の遺跡巡りは、まずジャイナ教の遺跡群(❶❷❸)を見学し、その後にヒンドゥー教の遺跡(❹❺❻)を見学した。

1、シャーンティナータ寺院 (Shantinath Temple)
2、パールシュヴァナータ寺院 (Parshwanath Temple)
3、アーディナータ寺院 (Adinath Temple)
4、ブラフマー寺院 (Brahma Temple)
5、ジャヴァーリー寺院 (Javari Temple)
6、ヴァーマナ寺院 (Vamana Temple)


1、シャーンティナータ寺院 (Shantinatha Temple)



まずは、シャーンティナータ寺院から見学。この寺院はジャイナ教の現役の寺院で、954年にジャイナ教の23代祖師パールシュヴァナータに捧げる為に建設された。

ジャイナ教は24人の予言者を信じて祀っている。初代はマディナートで、24代目のマハビーラの時に最盛期を迎えた。



寺院内には、この様な古い彫刻の門が散見される。遺跡の寺院を改築して、使用している様だ。



ポーチの見事な彫刻。ヒンドゥー教遺跡との違いは素人には分からない。



寺院入口の獅子像。 寺院の中部は中庭を周廊(バマティ)が取囲んでいる。中庭はタイル敷きだ。



ジャイナ教の本尊は、無所有の教義のため裸形だ。高さ4.5mのアーディナータ像で1028年に彫られた。 ゴマテーシュワラ(ジャイナ教の祖師の息子)の像。



男女の祖師像。詳細わからず。 16代祖師シャンティナータ像。



よく見ると寺院内部の入口の周辺は壁に塗りこまれている。古い寺院建築を改築して現役の寺院として使用していると考える。


2、パールシュヴァナータ寺院  (Parshwanath Temple)



パールシュヴァナータ寺院は第23代ティールタンカラ (ジャイナ教祖師)に献じられ、西群よりも早く10世紀半ばダンガ王により建立された。

10世紀中頃にジャイナ信徒の富裕商人たちの寄進があった。規模は大きいものではないが彫刻は秀逸だ。ただし、ミトゥナ像は少ない。



パールシュヴァナータ寺院のポーチ。 聖室内には、 当初ジャイナ教第1祖師アーディナータを祀っていたが、1860年より第23祖師パールシュヴァナータの黒い像を祀られている。



ポーチの天井彫刻。花模様の同心円の重なりもが素晴らしい。



聖室からマカラが突き出ている。通常、ヒンドゥー教のシヴァ祠堂から聖水を流すソーマスートラの役割のはずだが、ジャイナ教ではどういう役割なのかな? 柱の上で梁を支えて踏ん張っている力士像。



外壁にはバルコニーがなくおびただしい彫刻で覆われている。



かの有名な、アイシャドーを塗る女性像。 足の裏を赤く染めている女性像。



鈴の付いたアンクレットを着けている女性像。この手足の長い肢体は、ギリシャ彫刻を思い出す。この女性は踊り子らしい。 四臂のヴィシュヌ神とその妻ラクシュミー(吉祥天)。



ジャイナ教の神が、刀と生首を持っている。ジャイナ教の第一教義である、「生きものを傷つけない事」と相反するのではないか?と疑念を抱いた。 寺院の背面には深いニッチが設けられ、パールシュヴァナータ像が祀られている。


3、アーディナータ寺院  (Adinath Temple)



アーディナータ寺院は、11世紀末建立のシンプルな単堂式シカラ。後世に造られたポーチは、三方にアーチ状入口が付いている。ジャイナ教第1祖師アーディナータの黒い坐像を祀る。



シカラの壁面彫刻。



聖室の入口。側柱の彫刻はヒンドゥー教遺跡と変わらない。 聖室には、ジャイナ教第1祖師アーディナータの黒い坐像が祀られている。



シカラの側面下部に巨大なマカラが突き出ている。上記のパールシュヴァナータ寺院の聖室のマカラといい、ジャイナ教ではマカラが重要視されているのかな。



笛を吹く女性像。 ゴーケシュアラという頭が牛で体が人間のシヴァ神の化身像。


4、ブラフマー寺院  (Brahma Temple)



ブマフマー寺院。この寺院は、最初期の寺院なので単純な姿をしている。



祠堂の入口は鍵がかけられていた。石材にナンバーがふられているところから、最近に組み直しされたのだろう。



最初期の建物なので壁面の開口部がバルコニーではなく、格子窓になっている。前面にあったポーチは失われている。 軒下にミトゥナ像を発見。


5、ジャヴァーリー寺院  (Javari Temple)



ジャヴァーリー寺院は、田園の中の高い基壇の上に建っている。11世紀後半の建立。



聖室の前に大マンダバが無く聖室の周りに繞道もない。入口上部に残されたマカラと花綱の彫刻がうれしい。



明るいポーチと聖室の入口。



シカラと彫刻群。 夕日を浴びた彫刻群が黄金色に輝く。



壁面の凹部にはミトゥナ像が彫られている。



高い基壇上から眺めた、夕日に輝くカジュラホの田園風景。


6、ヴァーマナ寺院  (Vamana Temple)



ヴァーマナ寺院。この寺院は11世紀後半の建立で、ヴィシュヌ神の化身の一つヴァーマナ(矮人)として祀られている。



夕日を浴びた高い基壇の上に建つヴァーマナ寺院。



寺院のポーチの屋根は完全に失われている。



壁面の彫刻群が夕日に輝く。



隙間なく彫られたシカラ。 マンダバ。



ヴァーマナ寺院近くの井戸で洗濯をする親子。


← BACK NEXT →
イサーンの大地走行2000キロプラス カジュラホへの招待
イサーンの大地走行2000キロプラス カジュラホへの招待