2 アジャンタ石窟寺院(第1~10窟)
展望台とアジャンタ石窟寺院の入り口まで


アジャンタへの招待 アジャンタ石窟寺院 アジャンタへの招待 アジャンタ石窟寺院

アウランガバード市内のホテルからアジャンタに向けて、主要州道8号線(Major State Highway)を1時間45分ほど走ると、ビューポイントと書かれた標識があった。ここを左折して、ビューポイントに向かう。 田舎道の突き当たりに、目指すビューポイントはあった。この脇にレストランがあり、観光バスがトイレ休憩に寄った模様でたくさんの観光客がいた。


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ワゴラー川対岸のビューポイントから眺めた、アジャンタ石窟寺院の全景。アジャンタ遺跡は1819年4月28日、虎狩りに来ていたイギリス人士官のジョン・スミスが、この高台から馬蹄形の切り立った崖に開いた穴に虎が逃げ込むのを追いかけて、アジャンタ遺跡を発見した。


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州道8号線に戻りアジャンタの街中を抜ける。坂を下り20分ほどでアジャンタの入り口に到着。アメニティチケット、10ルピー。駐車代、30ルピー。

駐車場からのしつこい物売りの攻勢に晒されながら、やっとバス乗り場にたどり着く。ここで、アメニティチケットを見せる。
エコバスに乗る。バス代、片道40ルピー。


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バス停で降り、チケット売り場で入場券を購入。入場料、250ルピー。 急坂を登り、アジャンタの石窟群に向かうと入口が見えてきた。


第1窟



「西インド016アジャンタ」より
●第1窟


(第2期窟・ヴィハーラ窟)

法隆寺金堂に描かれた菩薩像の源流といわれる蓮華手菩薩や金剛手菩薩などの壁画は、古代インド仏教美術の最高傑作の絵画。

1500年前の僧侶たちの厚い信仰が感じられる、アジャンタ最高の見どころといえる石窟。


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第1窟のファザード。


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蓮華手菩薩。右手に蓮華をもつしなやかなポーズの菩薩は、古代インド絵画の最高傑作。日本には大正初期に紹介され、昭和24年に失火で失われた法隆寺金堂壁画の源流といわれる。


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金剛手菩薩。右手に金剛を持つ菩薩。金剛手菩薩は褐色の肌で、蓮華手菩薩の白い肌とわざと対比させているようだ。


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第1窟の天井装飾。極彩色でさまざまな草花や果物、天界の人々や動物たちが描かれている。ペルシャの影響を受けた天井装飾がといえよう。


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見事な柱の彫刻。 古代インドの傑作絵画も剥落が大きいのは残念だ。


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カルヤーナカーリン本生。国王カルヤーナカーリンが出家決意し、城から出てゆく情景を描いている。左側は出家の決心を王妃に打ち明ける場面。右は城門から出てゆく場面で、悲しむ王妃の白目をむいた表情が強く印象に残る。


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石窟内は薄暗く、カメラのフラッシュと三脚は厳禁。写真撮影にはとても不向きな環境だ。


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柱頭部の彫刻。1つの頭に4つの体を持つ鹿の浮き彫りと、横には供養飛天がいる。


第2窟


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(第2期窟・ヴィハーラ窟)中規模の石窟だが、見事な天井装飾と壁画の保存状態が良い。第2窟のファザードの白い幕は太陽の光を防ぐため。


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梁の部分の彫刻。


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本尊の釈迦坐像。 シュラーヴァスティの神変。


第4窟


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(第2期窟・ヴィハーラ窟)未完成窟。第3窟はアジャンタ石窟で最も大きなヴィハーラ窟。なお、第3窟は未完成窟なので飛ばす。


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第4窟の前から眺めたアジャンタ石窟群。


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入口の精緻な浮き彫り。


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仏堂本尊の釈迦坐像。


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壁面の仏像。 見事な柱の浮き彫り。


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第4窟はアジャンタ遺跡最大の僧院で、この空間は26メートル四方ある。しかし、この窟は未完成窟である。完成すれば壮大な僧院となる予定だったが、断層が横切っており工事は難航し、壁画も描かれないまま蜂起された。


第5窟


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第5窟の入り口には本生話の浮き彫りがある。 (第2期窟・ヴィハーラ窟)未完成窟。


第6窟


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(第2期窟・ヴィハーラ窟)アジャンタ石窟で唯一の2階建ての石窟。仏堂本尊の釈迦坐像。


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仏堂の上の浮き彫りに注目されたい。クメール遺跡のまぐさ石で、一番古いサンボールプレイクック様式(Sanbor Prei Kuk Style・610~650年)と全く同じだ。インドでは入り口の上の飾りとして、クメールでは装飾まぐさ石として使用されている。

昨日のエローラ遺跡ではヒンドゥー教の遺跡で発見したが、今回は仏教遺跡だ。この違いが「ふうみん」には大変面白い。


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ラオスのChampasak Provincial Historic Museum のサンボールプレイクック様式のまぐさ石。インドの建築装飾であるマカラを両端に配し、その口から吹き出されたアーチ上に1つか3つのメダルが配置され、下に花輪(蓮の花)が垂れ下がる。しばしば、マカラの上に乗る人物が彫られている。


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本生話の壁画。


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2階へ通じる急階段。 2階から眺めたアジャンタ石窟群。


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釈迦坐像。


第7窟


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(第2期窟・ヴィハーラ窟)第7窟のファザード。


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釈迦坐像。この第7窟は広間が無い変わったヴィハーラ窟といえる。


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千体仏の浮き彫り。アジャンタは古代において大きな隊商路が近くを通っており、これで富を得た業者たちのギルドが石窟寺院のパトロンだった。ギルドの成員たちは個人個人の姿を、この千体仏に託したのであろう。


第8窟


アジャンタへの招待 アジャンタ石窟寺院 (第2期窟・ヴィハーラ窟)小さな石窟の未完成窟。


鍵がかかっており入れず。中には照明用発電機が置かれている。


第9窟


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(第1期窟・チャイティヤ窟)大きなチャイティヤ(祠堂)窓の下に、飾りのチャイティヤ窓が5つ並ぶファサード。


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紀元前1世紀の頃は、簡素な室内で仏像が造られていなかった。ストゥーパを祀って礼拝堂とした。


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柱に描かれた仏画は第2期のもの。 柱に描かれた仏画は第2期のもの。


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これは第1期の貴重な仏教壁画だ。実に2000年前のインド最古の絵画の色彩をご堪能あれ。


第10窟


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(第1期窟・チャイティヤ窟)第9窟と同様初期の簡素なストゥーパがあり、窟内の柱に描かれた仏像画が見事。発見者ジョン・スミスの落書きがある。

第9窟より、さらに大きいチャイティヤ窟で、このアジャンタ最古のチャイティヤ窟は、中央にストゥーパを彫り出すだけで仏像などの浮き彫りは無い。列柱も同様で、簡素で荘厳なたたずまいを見せている。


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柱に残る仏像の絵は第2期になって描かれた。それでも1500年前のものだ。 柱の仏画。


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ジョン・スミスの落書。分かりますか?

John Smith, 28th Cavalry, 28th April 1819 (ジョン・スミス、第28騎兵隊、1819年4月28日)と書かれている。落書きの位置が3メートルと高いのは、発見当時、石窟内部に泥が1.5メートル積もっていたため。


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イサーンの大地走行2000キロプラス アジャンタへの招待
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