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クメール遺跡を見学するに当たって、どんな所に気をつければいいのかしら? |
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そうだね。「ふうみん」が思うのには、次の2点の面から見るといいと思う。まず1点は、遺跡の歴史的な意味だ。これについては、クメール王朝の歴史で別に話をしょう。もう1点は、建築学的、美術的な観点から見る事だね。簡単に云うと、その建物が美しいかどうかだね。 |
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日本のお寺を見るのと同じね。何時、誰が、何の目的で建てたと云うのと、この建物は○○様式で襖の絵は○○で、庭は○○が造った。と云うことね。 |
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まず、建築の材料が「レンガ」か「砂岩」か「ラテライト」か、あと「木材」で造られたかを気をつけて見ることだね。その中で「レンガ」を用いたのが、一番古いみたいだ。なぜかと云うと「レンガ」の上に漆喰を塗ってレリーフなどの装飾をしたが、はがれやすく耐久性に問題があり、次第に彫刻のしやすい「砂岩」に変わったようだね。 |
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「木材」も建材に使われているのね。「yayo」は「石」だけだと思っていたわ。 |
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「木材」は屋根を支えたり天井や扉などに使用されたが、遺跡にはほとんど残っていないんだ。特に、人々が日常生活を営む住居はほとんどが木造建築だったらしいね。アンコールの王の宮殿も木造建築だったが、今やその跡形は無いみたいだね。 |
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アユタヤやスコータイの仏教遺跡の建築物は「レンガ」だけで「砂岩」を使った遺跡は無いみたいだけど。 |
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まさにいい所に着目したね。「砂岩」を使った建築様式がクメール遺跡の大きな特徴とも云えるんだ。 |
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「砂岩」と「ラテライト」の使い分けはどうなのかしら? |
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「砂岩」については、構造材だけでなく、彫刻がしやすい赤色砂岩、青色砂岩、灰色砂岩などが仕上げ材として用いられ、「ラテライト」は基礎や壁や見えない部分の構造材として用いられたみたいだね。二つの材料を上手く分けて使いこなした例が多いんだ。 |
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その他のクメール遺跡の特徴は? |
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あと、クメール遺跡の建造物はアーチ構造が用いられず、迫り出し構造なんだ。これでは、大きな室内空間を持つ建造物が建てられない大きな欠点がある。それで、十字型の回廊を空間に見立てた独特の建築様式になったと考えられるんだ。東南アジアでアーチ構造を持つの建築物は、ビルマのバガンだけだと云われているんだ。 |
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クメール遺跡といえば、直ぐに頭に浮かぶのがあの素晴らしい「レリーフ」ね。あの「レリーフ」が彫られている場所はなんていうの。 |
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主に「レリーフ」が彫られているのは「破風」と「まぐさ石」の部分だ。ここには、ヒンドゥー教の神話が彫られているので是非、ゆっくりと鑑賞してもらいたいと思うよ。特に、ヒンドゥー教の神々を覚えるといっそう面白いね。 |
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それで、「ふうみん」はよく「レリーフ」の写真を撮っているんだ。遺跡が東を向いているので、日の光がよく当たる午前中に行こうってね。 |
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そうだね。あと、「ナーガ」や「ナンデン」や「シンハ」の像と「リンガ」や「ヨニ」の像。それと「バライ」とか「塔門」や「祠堂」とかの建物本体だね。特に、寺院の建物の配置については、宗教観、宇宙観が複雑に絡んで解明されていない事も多い見たいだ。 |
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宗教観、宇宙観て具体的にはどう表現されているの? |
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クメール遺跡の寺院の中心には、プラプラーンと呼ぶチェデイが置かれ、神殿が築かれる。山頂や高台が選ばれるのは、ヒンドゥー教の聖なる山、カイラーサ山にあやかっていると思われる。そして、バライは大海を意味し、壁や回廊は聖なる山を意味すると言われているんだ。 |
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そう思って見ると、ミステリアスな部分がたくさんあるのね。 |
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まあ、だから「ふうみん」がクメール遺跡に惹かれるのだと思うよ。まして、有名じゃあない遺跡に行くと、居るのはいつも我々二人だけだからね。あの、歴史から忘れられたような廃墟の建物を1000年もの昔に遡り、静寂の空間の中で過ごす時間が、とても素晴らしいんだ。 |