旅を終えて



半世紀前の「ホテルくろよん」にて



記憶の美化と不確かさ


高校生の時、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「舞踏会の手帖」を確か京橋の国立近代美術館の中にあった「国立フィルムライブラリー」で鑑賞した。

映画の内容は、20年前に社交界デビューした時の手帖を見つけた若き未亡人が、その手帖に記された踊り相手を訪ねて旅に出る姿を描いている。

この映画のテーマは、「記憶の美化」や「記憶の不確かさ」であったと思う。高校生時代の記憶に残る名作の一つだった。

蛇足だが、この映画の主演マリー・ベルと同じ名前の牝馬が1969年にJRAでデビューをした。何度かこの馬(マリーベル)の応援馬券を買った思い出がある。

「ふうみん」は、古い過去の事を思い出す度にこの「舞踏会の手帖」のテーマを想起する。時にはちとほろ苦い事もある。

今回の半世紀ぶりの「ホテルくろよん」への旅は、こんな取り越し苦労も無く至極快適であった。何か、少しだけ拍子抜けした感は否めなかった。
2024年6月
「ふうみん」


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