
「西インド015エローラ」より |
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●ジャイナ教窟(Wikipediaより)
ジャイナ教の石窟は他と比較してそれほど大きくはないが、繊細で複雑な構造を持ち、一種の芸術的作品となっている。
第32窟はジャイナ教の石窟でチョーター・カイラーサナータ(小カイラーサナータの意)と言われ、石窟の正面の中庭に第16窟と同様に外部に出現した神殿がある。
第16窟と大きく違うのは、石窟のほうも充実していることである。第32窟の石窟の中はジャイナ教の神殿となっており、天井にはすばらしい蓮の彫刻が見られる。
また第34窟(第32窟、第33窟と繋がっている)には美しい女神が、豊かに実ったマンゴーの木の下で、ライオンの上に座り壮麗な姿態を見せている。もちろん神像はこれだけではなく数多くの神像が壁を埋めている。
ジャイナ教石窟には豊富な天井画が見られ、今でも多くの天井画が残っている。ほかのジャイナ教の石窟も繊細な彫刻と、複雑な内部構造を持っており、互いに内部で繋がっている。そのため、訪れた人には境界がはっきり判らなくなっている。
ジャイナ教の石窟寺院は、中庭の神殿とそれを囲む充実した石窟寺院群から構成されるが、この構成は現代のジャイナ教の寺院の特徴となっている。
現代のジャイナ教寺院は中央部に神殿があり、それを中庭をはさんで外郭がぐるりと囲っている。この外郭は仏教寺院の簡素な回廊と違って充実したもので、立派な塔や小神殿が付随した立派なものである。エローラのジャイナ教の石窟寺院は、まさにジャイナ教寺院の原形とも言えるものである。 |
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第31B 窟 |
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これが第30窟のファサードだと思っていた。今回よく調べてみると30窟ではなく、31B窟だと思う。 |
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小さな石窟で、柱等も装飾がない。 |
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壁に彫られた神像。 |
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奥に彫られた開祖ティールタンカラか? |
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第31窟 |
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この第31窟をはじめとしたジャイナ教窟の建造は9世紀で、エローラの仏教窟、ヒンドゥー窟より開窟時期は一番遅い。ラーシュトラクータ朝6代のアモーガヴァルシャ1世(814~878年)が、ジャイナ教を保護し建造に力を注いだ。右手前は沐浴場か、それとも単なる水たまりか、庭の池かの判別ができない。 |
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「ふうみん」はジャイナ教の遺跡を見るのは初めてである。仏教窟ともヒンドゥー教窟とも似ているようでどこか違う。いつもとは少し違う感覚だ。 |
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ジャイナ教窟の石柱の彫刻の繊細さは特筆すべきだ。 |
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台座の割に小さくアンバランスな本尊立像。 |
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床に彫られた穴と溝は何なのだろう? |
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第33窟の入り口前の掘られた岩は庭なのか?それとも建造中だった建物跡か? |
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第32窟 |
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「西インド015エローラ」より |
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ジャイナ教の始祖像は両手を禅定に組んで結跏趺坐する像が多く、造形的に仏像に極めて近いが、全身裸形であるのが異なる。
第32窟は奥行きの深い通常の石窟の手前に中庭があり、そこに石彫りのチャトルムルカ(四面)堂とスタンバが彫りだされている。
何世紀も後に西インドで華々しく開花する四面堂形式の寺院の原型が、ここでは南方様式の石彫寺院で試みられていた。
第33窟と第34窟は繋がりあっており、また第33窟の2階と第32窟の2階とも繋がり、複雑な空間をなしている。
規模は小さいがそれぞれ形式が整い、建築と彫刻とが密度高く絡まりあって魅力的な空間を創り出している。 |
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第32窟は、ジャイナ教石窟群で一番重要で興味深い窟だ。 |
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門を入ると眼前に、彫り出されたチャトルムルカ(四面)堂がある。第16窟のカイラーサナータ寺院を見ていなかったら驚愕するだろう。この祠堂の内部にはティールタンカラ(祖師)が彫られている。 |
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中庭から石窟寺院を望む。2階の微細で美しい浮彫が目を引く。 |
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彫り出され象の彫刻。 |
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スタンバも彫り出されている。 |
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ジャイナ教窟では、主祠堂の左右壁に獅子に乗る女神像と象に乗る男神像(下の写真)が置かれることが多い。この女神も一対の片方でヤクシニーであろうといわれている。マンゴーの木の下の女神というモチーフは、仏教やジャイナ教に共通する女神であり、この像もジャイナ教窟の中の彫刻で精彩を放っている。 |
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一対の片方の象に乗る男神像。この男神はヤクシャ(夜叉)であろうといわれている。 |
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聖者ゴーマテーシュヴァラの浮き彫り。この聖者は、祖師の一人あるいは第一祖師の次男とされる。身体に蔦を絡ませているのが図像的特徴。ジャイナ教の聖者が裸体なのは「無所有」を象徴する。 |
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開祖ニガンタナータプッタ(本名ヴァルダマーナ)の裸体像像。 |
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天井に蓮の花が描かれた装飾画が残っていた。 |
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獅子に乗る女神ヤクシニー。豊満な胸が触られ黒光りしている。 |
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左の女神像と一対をなす象に乗る男神ヤクシャ(夜叉)。 |
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ジャイナ教の聖者の簡素さを際立たせさせるような、柱の繊細で豪華な浮き彫り。 |
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こちらも、見事な彫刻で飾られたの石柱。 |
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2階に彫られたジャイナ教の聖者たち。ジャイナ教の伝承によれば開祖ヴァルダマーナの前に悟りを開いた聖者が23人いるので彼は第24祖とされ、この32窟には24体の聖者像がある。この、2階から第33窟に繋がっている。
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第33窟 |
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向かって右側が第33窟で、左が第34窟。この両窟は内部で繋がっている。 |
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ヤクシャ(夜叉)像の上の彫刻が見事だ。硬い石なのに花びらの一枚一枚が柔らかい。 |
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彫り出された階段を上り、2階に進む。 |
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2階の天井には、壁画が残されていた。 |
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2階の内部空間。簡素な聖者像と繊細で豪華な浮彫の石柱の対比が面白い。 |
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第34窟 |
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入り口の沐浴場で、犬が泳いでいた。 |
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第34窟の内部。 |
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ジャイナ教の遺跡を見るのは初めてだった(この後、カジュラホで見た)ので、基礎的な知識は全くなく多少の戸惑いがあった。その印象は、開祖像は裸形で造形的には仏像に近いが面白みには欠ける。その反面、室内の繊細で豪華な浮彫には驚かされた。
ジャイナ教と仏教がほぼ同じ時代にバラモン勢力に対抗して生まれ、開祖ヴァルダマーナは釈迦と同じ王族の子として誕生したのは、とても面白い一致だと思う。 |
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