旅のはじめに



Andre Malraux 

アンドレ・マルロー 「王道」 松崎芳隆訳
集英社版・世界文学全集(第80卷)
1979年12月25日発行・定価980円








マルローの「王道」を読んで

マルローの「王道」を読んで「王道」の魅力に惹かれた。


…クメールの浮彫りを探して、巨万の富を求めて密林の奥深く古寺院を探して分け入る主人公のクロードとペルケン。

カンボジアの濃密な熱帯雨林の中に埋もれ、かすかに盛土と一部に残る敷石のまるで川床のようにあらわれたり消えたりしている「王道」の導いてくれた先には、荒廃したクメール王朝の遺跡があった。

紫砂岩の壁面のいくつかには彫刻がほどこされ、古い時代のインド様式のきわだつ素晴らしく美しい浅浮彫があり、苔に包まれた石仏、人間の姿など見たことも無い蛙や石の上を這う百足、かくも決定的に放置されて崩れ落ちた寺院。…

この小説は、マルロー自身の若き日のインドシナ体験をもとに、人間の存在と行為の矛盾を追求した実存主義の小説の傑作。



「王道」について

ジャヤヴァルマン7世の整備したクメール帝国の主要な王道は3本ある。

小説「王道」の舞台となった西北方面には、アンコール都城からダンレック山脈を越えてイサーンのピマーイの間には、約16キロごとに16の宿駅が置かれた。

この中継点のタイとカンボジア国境にあるのが「タームアン」遺跡だ。

*右は集英社版小説の中の王道の参照地図。



今回の旅「失われた王道を求めて」について


マルローの「王道」を読んでいると
次の様な気になる記述があった。


最後の村で薪取りの男たちは、
タ・ミーンという巨大な寺院のことを話してくれた。
 それはカンボジア国境とシャムの未踏査地域とのあいだ、
モイの住む地方の連山の頂上にあるとのことだった。
「なん百メートルにもおよぶ浅浮彫の群がある……」

この、「タ・ミーン遺跡」と云う名は、
過去数回に渡り十以上のクメール遺跡を巡って来た
「ふうみん」も全く知らない名前だった。

そして、当然の如く「タ・ミーン遺跡」について
強く興味をそそられたし、
またすごく惹かれるものがあった。

早速、ネットで検索するも該当するページはなく、
タームアンでかろうじていくつかのサイトが網に掛かった。
ローマ字表記では、「TA MEUAN」になる。
なお、このサイトでは「タームアン」と表記する。

「ふうみん」の性分として、
こういう所なら是非とも行きたいし、
また、行かねばならぬ!という、強い衝動に駆られた。

ここ数年イサーンには、乾季の11月に行っていたが
それまで待てない、雨季でもよい。

なにしろ、早く行って見たい…。


マルローの「王道」に書かれた

タームアン遺跡へ

失われた王道を求めて!

旅に出よう。


それでは、ガイドブックに無い旅をお楽しみ下さい。

2005年7月初稿作成
「ふうみん」



■新しく大きなサイズの写真を多用し、サイトを全面的にリニューアルしました。
2012年5月全面改訂
「ふうみん」




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