special 特集:アングラ演劇
状況劇場


唐十郎の「状況劇場」といえば
新宿・花園神社・紅テント


「ジョン・シルバー 新宿恋しや夜鳴編」 第9回おわび興行

草月会館ホール

1967・5・22〜25
「ジョン・シルバー 新宿恋しや夜鳴編」の入場券の購入ハガキつきチラシ


ハガキの宛先が、
杉並区本天沼2−20−20 大鶴方(唐十郎の本名)
になっているのが面白い


「状況劇場」と「天井桟敷」の乱闘事件の新聞記事を載せます

読売新聞 夕刊 1969年12月13日より

初日に葬式の花輪!アングラ団員乱闘 寺山修司ら逮捕/天井桟敷と状況劇場

十二日夜、東京・渋谷で唐十郎ひきいるアングラ劇場「状況劇場」グループと、寺山修司ひきいる劇団「天井桟敷」グループの団員同志が衝突、双方から九人が逮捕された。

同日午後十一時三十五分ごろ、渋谷区渋谷三の一一の七、劇団「天井桟敷」前路上で、約二十人の男が乱闘しているのを通行人がみつけ、渋谷署に一一〇番。

かけつけた同署員らが、同区神山町一〇の七、松風荘内、「天井桟敷」主催者、劇作家寺山修司(三三)、同団員橋本光史(二四)、杉並区阿佐谷南1の17の16、劇団「状況劇場」の主催者、唐十郎こと大鶴義英(二九)、同劇団員吉村敏夫(二三)、同麿赤兒こと大森宏(二六)、同大月雄二郎(二一)、同大久保鷹(二六)、同小林兼光(二五)、同不破万作こと杉原仲幸(二三)の計九人を暴力行為現行犯で逮捕、身柄を同署に留置した。

調べによると、状況劇場は「ヘアー」初日に当たるさる五日「天井桟敷」から二百メートル離れた金王(こんのう)神社境内にテントを張り金、土、日曜日に限り"河原乞食芝居"を上演していた。

初日の五日に寺山がユーモアをこめて葬式用の花輪を開演祝いに送り届けたところ、唐らはこれを「本人が直接送り届けず使いの者に持たせた」「葬式用花輪とはいやがらせだ」などと怒り、この日、芝居がはねたあと「天井桟敷」に押しかけ「寺山を出せ」とやりとりするうち、互いに乱闘となったらしい。

唐らはいずれも芝居がはねた直後だけに、おしろい、アイシャドーを塗りたくった舞台化粧姿で「けんかではない、話をつけたかっただけだ」といっている。同署では、両劇団には、かつて顔見知りだった者が多いことなどから、日ごろからライバル意識がかなりあったとの見方をとっているが、調べに対し唐は「花輪の件は一度話をつけようと思っていたところ、たまたま、きのうは酒をみんなで飲んでいたせいも有り、急に会いたくなり出かけて行った。

天井桟敷の方で、こちらが殴り込みにいったと勘違いしたらしい。われわれの競争相手は天井桟敷なんかではなく、俳優座だ」といっている。しかし、身柄留置の措置に「今夜の芝居ができなくなるのでは」と心配していたという。

また、寺山は「天井桟敷の旗あげのときに、中古の花輪を贈ってもらったのを思い出し、はじめ酒にでもしようと思っていたのを、おもしろいと思って葬式用の花輪を贈った。かれとは脚本や作品を見てやったこともあるし、近くで公演するからといって敵対意識なんてとんでもない」といっている。

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