イサーンの大地走行2000キロプラス ひとりごと
11アンコールワットと憲法9条      2005.3.1
「イサーンのクメール遺跡」のコンテンツを作成するにあたり、クメール王朝について色々と調べていると面白い事に気がついた。それは「アンコールワットには城壁が無く、アンコールトムには城壁がある」と云う事だ。

クメール王朝の歴代の王は「神域不可侵」を信じていた。長年に渡り他国からの侵略を受けた事が無かったので、都城建設においても防衛体制は無きに等しかった。

ところが1177年、ベトナム中南部のチャンパ(占城・せんじょう)軍は大船団を組みメコンからトレンサップ川を遡り、アンコール都城に奇襲をかけて簡単に占拠した。それから実に4年間に渡り、アンコール都城は支配され凄まじいまでの略奪にあう。

1181年に即位したクメール王朝最強の王「ジャヤヴァルマン7世」は激戦の末チャンパ軍を追い払い、ついに1190年にチャンパを併合し属国とした。

そしてジャヤヴァルマン7世の建設した都城のアンコールトムはアンコールワットとは異なり、防備を整えた城塞都市として周囲を130メートルの環濠で囲み、城壁は高さ8メートル、幅3メートルのラテライトで強固に造られている。

この歴史を調べながら「ふうみん」は、クメール王朝の歴代の王が信じた「神域不可侵」と日本国民が信じている「憲法9条」の時代を超えた奇妙な一致を感ぜずにはいられない。

「憲法9条」とグーグルで検索すると32万ものサイトがある。そして「平和」、「日本の宝」、「世界に広げよう」、「他国から尊敬」、「改悪反対」などの中学生の弁論大会のような言葉が並ぶ。

「ふうみん」は戦後世代で、小学校の時から「憲法9条」を「平和憲法」の要として教え込まれて来た。しかし今、広い世界を見て年輪を重ねて行くうちに「神域不可侵」「憲法9条」の共通する危うさを感じざるを得ない。

まさに、竹村健一氏の言う「日本の常識は世界の非常識」だと思う。北朝鮮が新型スカッドミサイルを開発したとの記事を読みながら、この文を記す。


ジャヤヴァルマン7世


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