ジャワ島、レンタカー旅行。　イサーンの大地走行２０００キロプラス

旅のはじめに

AVISレンタカーのジョグジャカルタ営業所

■遺跡巡りの最終点はレンタカーで

2003年の秋、タイの東北地方でクメール遺跡に嵌った。それから足掛け１０年近くを費やして100ヶ所以上のクメール遺跡を巡った。そして、カンボジア・ラオス・ベトナム・ミャンマー・インドへと遺跡の範囲を広げていった。

そうすると、残るヒンドゥー教・仏教遺跡は、ジャワ島のプランバナンとボロブドゥールになった。３年前にインドをレンタカーで巡った時、翌年はジャワ島へ行こうと考えていた。しかし、体調を崩して断念した。

体調が戻ってからも、ジャワ島のジョグジャカルタにAVISのレンタカーは無いし、イスラム教でアルコール事情は悪い。そんな訳で、もう一つ行く気になれなかった。

今年の春、何気なくAVISのサイトを覗いたら、ジョグジャカルタに営業所が出来ていた。それならば行かなくてはなるまい、と思った。そして、今回の計画を立てた。

サイトで調べると思った通り、ジャワ島でレンタカー旅行の方はほとんど居ない。ヤフーの知恵袋の回答なども否定的である。否定的意見はインドの時もそうだったし、２０年前のタイもそうだった。でも「ふうみん」には、1999年にバリ島でのレンタカー経験もある。

インドで懲りたアルコールは、日本からは焼酎（900㎖）の紙パックを２本用意して行き、ジョグジャカルタの大手スーパーで缶ビールを買って、車のトランクに入れればいい思った。

レンタカーの旅であれば、ディエン高原やグドンソンゴやソロ郊外のヒンドゥー教遺跡を巡れるし、日本では紹介されていない他の遺跡も見学出来ると前向きに考え、ジャワ島のレンタカーの旅に出掛けた。

2015年11月
「ふうみん」

■インドネシアの歴史年表

・ジャワ島の遺跡をより詳しく知るために年表を作成しました。（黄文字はインドネシア関連）

年	出来事
6世紀後半	インドシナ半島に真臘国成立
650ころ	スマトラ島にシュリービジャヤ王国（Sriwijaya）成立
705ころ	カンボジア、水真臘と陸真臘に分裂
717	ジョグジャカルタ周辺にマタラム王国（Mataram）成立（～929）
752	中部ジャワにシャイレンドラ王国（Sailendra）成立（～832？）
790ころ	シャイレンドラ朝によるボロブドゥール建設始まる（～833ころ）
802	ジャヤヴァルマン2世、アンコール帝国（古代カンボジア王国）を建設
9世紀後半	マタラム王国よるプランバナン寺院建設
927ころ	中部ジャワに火山噴火し東部ジャワに移動、クディリ王国興る（～1222）
1025	南インドのチョーラ朝、シュリービジャヤの首都パレンバンを攻撃
1044	アノーヤター、ビルマ最初の王国パガン朝を樹立（～1287）
1113ころ	アンコール帝国のスールヤヴァルマン2世、アンコールワットの建設を始める
1220ころ	シャム（タイ）にスコータイ朝成立（～1438）
1222	東部ジャワにシンゴサリ王国成立（～1292）
1292	モンゴル帝国の遠征艦隊ジャワに来航
1293	東部ジャワにマジャパヒト朝成立（～1520代）

■中部ジャワ島の王国

・中部のジャワ島に８～９世紀にかけて、何故宗教の違う二つの王国が共存していたのだろう？
・「マタラム王国・Mataram」は「サンジャヤ王国・Sanjaya」とも記される。１６世紀以降の「マタラム王国」（イスラムマタラム又は新マタラム王国）と区別するため、「古マタラム王国」と呼ばれることが多い。　

「シャイレンドラ王国」は仏教を、「マタラム王国」はヒンドゥー教を国教とした。そして、各王国はボロブドゥールやプランバナンを建設した。近い距離に二つの王国が同時期に存在し、別の宗教を国教としながら共存、融合していた理由は解っていない。

現在、判明していることは「マタラム王国」が本来の地域王権であり、「シャイレンドラ王国」はジャワ北岸からの新興勢力であったらしい。宗教は違っても、両王国は距離が近い事から共存し婚姻関係もあった。

「シャイレンドラ王国」の中部ジャワでの支配が確立したのは、大王パナンカランが「山からの王（シャイレンドラ）」という称号が与えられた時からとされている。その後、徐々に「マタラム王国」を圧倒した。

「シャイレンドラ王国」は、ボロブドゥールを造営した。そして、プランバナン近くにサリ、カラサンの仏教寺院を建立した。この様な「シャイレンドラ王国」の黄金時代には、767年に北部ベトナムを、774年、787年にチャンパを侵略し、8世紀末には真臘を勢力下に置いた。

やがてヒンドゥー教の進出とともに、仏教の「シャイレンドラ王国」は同族と推定されている仏教を国教としているスマトラの「シュリービジャヤ王国」に引き上げた。この結果、中部ジャワはヒンドゥー教の「マタラム王国」に統合された。

その後「マタラム王国」は、火山の噴火や地震、疫病等の天災により壊滅的な打撃を受け、住民は東部ジャワに移動した。ここに「マタラム王国」は消滅し、「クディリ王国」が成立した。