行程3日目


アンコールトムと小回りコースとトンレサップ湖、プノンクロムへ




5:43

早朝の散歩に出かける。歳を重ねると朝が早い!

レッドピアノの前からバーストリートを望む。

通りの突き当りの向こうに、朝焼けの雲が見える。

雨季だが、今日も晴れそうだ。



5:52

街を歩いていると、道端で焼きたてのフランスパンを売っていた。

ここカンボジアはフランスの植民地だった。だから、フランスパンが美味しい訳だ。



6:54

このホテルのお気に入りのおかゆ。

ピータンとソーセージと漬物がとても合う。



7:24

食事を終えて、ホテルの外に出て空を見上げると青空が。

今日もまた炎暑の1日が始まる。



Phimeanakas & Royal Palace 年代 : 10世紀後半
創建者 : スールヤヴァルマン1世
宗教 : ヒンドゥー教

9:01

まずは、昨日の続きだ。ピミアナカスに向う。

東西35メートル、南北28メートル。高さは12メートルのピラミッド形式の寺院だ。

ピミアナカスとは空中楼閣の意味で、雨季には周りに雨水が溜まり空中に浮いたように見えるとの事。

この裏には、かって木造の数階建ての王宮が建てられ、鉛の瓦が葺かれていたと云うが、今は跡形も無い。



9:03

階段脇には獅子の像が、角には象の像が建っている。

階段は非常に急だ。実は、この裏に手すりの付いた階段が設置されている。そこを登る。



9:07

最上部に登ると、祠堂は荒れていた。「ふうみん」は、もう少し色っぽい石のベットなどが置かれていたらな!と思った。

何故ならば、このピミアナカスには有名な伝説がある。

…「王は毎晩この場所で、9つの頭を持つヘビの精が女性の姿で現れる化身と交わらなくてはならない。交わらないと災いがおこる」という言い伝えだ。

これは、13世紀にこの地を訪れた中国人、周達観の「真臘風土記」に記されている。



9:14

ピミアナカスの北方に2つの池がある。

大きい池が男池で、小さい池が女池。

男池のみレリーフがあり、男神、女神、ナーガ等が描かれている。



9:17

手前に女池、後方に男池。

たぶん、当時は宮廷の人の沐浴場だったのだろう。



9:20

途中の楼門のレリーフ。表情が豊かだ。



Terrace of the Leper King 年代 : 13世紀前半
創建者 : ジャヤヴァルマン7世
宗教 : 仏教

9:21

ライ王像と呼ばれる高さ1メートルの坐像。

これはレプリカで本物はプノンペンの博物館にある。

ライ王と呼ばれているが、この伝説には根拠が無く、最新の学説では垂れ下がる髪と牙があることから、閻魔大王だと考えられている。



9:24

ライ王のテラスには、6メートルの壁一面にレリーフが施されている。



9:26

ライ王のテラスの内側にも壁があり、1910年代まで土砂に埋もれていた為に保存状態がいい。

ナーガの力強さが印象的だ。



Terrace of the Elephant 年代 : 12世紀後半
創建者 : ジャヤヴァルマン7世
宗教 : 仏教

9:29

王宮の東正面に約300メートル、高さ4メートルの堂々たるテラスがあり、壁一面に象の彫刻が施されている。



9:31

象のテラスの中央階段の前に伸びる道路は、勝利の門に通じている。

王はこの地に立ち、凱旋してくる兵士を迎えたのであろう。

そう思って目を閉じると、遠く過去から時空を越えた歓声が聞こえてくるようだ。

「ふうみん」は、歴史的建造物を「見る」のは、想像力を加えて「見る」事が大切だと思う。



9:34

我に返って、後を振り向くと王宮の塔門があり、破風とまぐさ石に恐ろしい顔をしたカーラが彫られていた。

タイ東北部(イサーン)のカーラはもっと愛嬌があって可愛いのに!



Victory Gate 年代 : 12世紀後半
創建者 : ジャヤヴァルマン7世
宗教 : 仏教

9:42

勝利の門も南大門と同じく、観世音菩薩像の彫られた四面塔のある塔門だ。

その前には乳海攪拌のナーガを胴体を抱えた阿修羅と善神像が並ぶが、頭部は無い。

頭部は破壊されたか、盗難にあったという。



Chau Say Tevoda 年代 : 12世紀前半
創建者 : スールヤヴァルマン2世
宗教 : ヒンドゥー教

9:45

現在、中国の修復チームによる作業中のため、足場が組まれている。

修復前の写真を見ると、木の根がはびこり荒廃しているが、今はその面影は無い。



9:48

足場の間からデヴァターを眺める。

なかなか素晴らしいレリーフだが、監獄の中に居るようで情緒に欠ける。



Thommanon 年代 : 12世紀前半
創建者 : スールヤヴァルマン2世
宗教 : ヒンドゥー教

9:58

トマノンは小さいが優美なアンコールワット様式の寺院だ。

この寺院はフイリップ・グロリエにより1960年代に修復された。その際鉄筋コンクリートが用いられた。



10:01

柱に彫られたデヴァターの髪飾りや衣装の精緻さには目を見張る思いだ。




10:05 中央祠堂の正面には入ったら、外から日差しが差し込みまぐさ石が輝いている。神々しい情景だ。

ガルーダはその背にヴィシュヌ神を乗せ、天敵の左右のナーガを足で絞めている。精緻な彫りはまるで木彫りのような錯覚に陥る。



Ta Keo 年代 : 11世紀前半
創建者 : スールヤヴァルマン5世
宗教 : ヒンドゥー教

10:13

タケオは砂岩のみで建造された、5層の基壇からなる最初のピラミッド型寺院である。




10:16

建設が途中で中止されたため、壁面の彫刻は未完成のままである。

寺院の彫刻は石を積み上げた後から施すという、手順が良く分かる。



10:24

頂上には5基の祠堂がそびえ立ち、中央祠堂から上を見上げると天井部分の迫り出した石が落ちそうで、思わず首をすくめた。



Ta Prohm 年代 : 1186年
創建者 : ジャヤヴァルマン7世
宗教 : 仏教

10:39

フランス極東学院は、タプロームを発見された当時の状況のまま残す方針を打ち出した。

入り口には観世音菩薩像の四面塔のある塔門。

一目でジャヤヴァルマン7世が建造したと分る。



10:53

巨大なスポアンが絡みついた寺院。

ここは非常に人気のある寺院で、観光客で一杯だ。

その半分以上を占めるのは、韓国人観光客。

その観光客に説明する韓国人ガイドの大声の韓国語のやかましさ。

せっかく、発見当時の静寂なタプロームの幻想的、神秘的な感慨に浸ろうと思ったが台無しだ。



11:00

スポアンの巨大さに感激。

この数日後に、ベンメリアやバンテアイチュマールを見たら、残念ながら印象が薄くなった感は否めない。



11:05

大地の女神プーミデーヴァーが己の髪を振り絞る。

第四東塔門に彫られた、仏陀の一生の「降魔成道仏」の一場面のレリーフ。

写真の下側の仏陀像は削り取られている。



Banteay Kdai 年代 : 12世紀後半
創建者 : ジャヤヴァルマン7世
宗教 : 仏教

11:29

東塔門脇に彫られた力強いガルーダのレリーフ。



11:32

東参道脇に2001年3月上智大学アンコール遺跡国際調査団は、地中に埋まった106体の廃仏を発掘した。

同年8月の調査で、さらに167体の廃仏を発掘した。

この偉業はアンコールの歴史的快挙と云える。日本人としてうれしい事だ。



11:33

静寂に満ちた寺院の参道を歩き、十字型テラスに行くと、何と4人の若い韓国人女性が大声を張り上げ、ダンスを踊っていた。

まったく、いい加減にしてほしいよ!



11:36

前殿の柱に彫られた、蓮の花の上で軽快に踊る天女アプサラス。



11:37

中央祠堂の周辺のデヴァター像。



Sras Srang 年代 : 12世紀後半
創建者 : ジャヤヴァルマン7世
宗教 : 仏教

11:55

スラスランは王の沐浴の池。

東西700メートル、南北350メートルの池と西側に造られたテラス。

テラスはナーガの欄干とシンハが置かれている。



Prasat Kravan 年代 : 921年
創建者 : ハルシャヴァルマン1世
宗教 : ヒンドゥー教

12:05

プラサートクラヴァンは祠堂内のレリーフで有名だ。

正午の痛烈な太陽の光を浴びる、中央祠堂の三界を闊歩するヴィシュヌ神。

三歩で世界を跨ぐと云う力強さが描かれている。



12:06

こちらは同じく、中央祠堂のガルーダに乗るヴィシュヌ神。






12:48

午前中の見学を終えてホテルに戻る。

レストランはホテル近くの、シェムリアップ川に面した「カンプチーノピザ」。

ピザのLサイズとサラダ。近くの欧米人が食べていたフランスパンのサンドウィッチを頼む。味はいい。

シェムリアップ川の川風と前の道路を行き交う人々を見ながら昼食を堪能。「yayo」は、いたくお気に入りで今度は夕食に来ようと言う。

料金は16.4ドル。
評価は★4つ。



Tonle Sap Lake


16:02

15時にホテルにタクシーが迎えに来た。

シェムリアップ市内の旅行代理店でトンレサップ湖のクルージング乗車券を購入。2人で50ドルと、なかなかいい値段だ。

実を言うと、ここへ行くのはあまり気が進まなかった。友人の「よこはま」さんから、雨季の以外の水が少ない時期は臭くて良くないよ!と忠告を受けていたからだ。

しかし、炎天下の遺跡巡りは思った以上体力を消耗する。そこで、トンレサップ湖のクルージングもいいかなと思った。



16:17

トンレサップ湖にはかなりの悪い道とスラム街を通り抜けてやっと到着。

やっと乗船し、狭い水路をやっと沖に出てホットしたら、土産物屋のイカダに着船。

そこは、お決まりのワニや水族館?がある陳腐な観光施設だ。全く持ってつまらない場所だ。

イカダから、トンレサップ湖の雄大な景色を眺めるのがせめてもの慰めだ。



16:59

気の進まないクルージングを終え、来た道を戻る。

この場所のチップ攻勢と1ドルの声に辟易だ。

道端にはスラムが続く。ここに住んでいるのはベトナム人だと云う。



Phnom Krom 年代 : 9〜10世紀前半
創建者 : ヤショーヴァルマン1世
宗教 : ヒンドゥー教

17:23

トンレサップ湖北岸に位置するプノンクロムは、アンコール3山の一つでサンセットの名所だ。

タクシーを降りて目の前の階段を見上げる。

残念な事に車で遺跡まで行く事は出来ない。山道を20分以上歩かなくてはならない。

一瞬躊躇する。「yayo」がせっかく来たのだから登ろうと言う。

写真は先を急ぐ「ふうみん」と、それに続くドライバー。「yayo」は喘ぎながら最後を歩く。



17:33

やっと、頂上だ。9世紀の終わりから10世紀にかけて造られた3基の祠堂が建っている。

遺跡はかなり風化が進んでいる。「ふうみん」は残されたデヴァターを写す。

ここは遺跡も価値があるが、頂上から眺める景色が出色だ。

南側には巨大なトンレサップ湖を望み、地平線まで続く一面の水田も見事だ。




17:39 カンボジアの大地の地平線と雨雲の間から夕日が漏れる。

我々の他、観客は日本人一人と欧米人のアベック一組。日本人の方と帰り道に話をする。日本人専門のゲストハウスに泊まっており、そこのバイタクで1時間も前に来たが誰も居ず心細かったとの事。





19:32

今日の車のチャーター料は45ドル+チップ5ドル。また、明日も朝8時に頼む。

ホテルでシャワーを浴びて一休み。

19時前にホテルを出、フットマッサージの「アイランズ」に行く。1時間で7ドル+チップ1ドル。

腕はマアマアだ。



20:48

今日の夕食はインド料理にした。

店の名は「カーマストーラ」。

バーストリートの中ほどにある、雰囲気の良い洒落た店だ。



20:55

ターリー(インド定食)を注文する。ナンがビールのつまみにちょうど良い。

味は評判どおりだ。今日は昼食といい選択は成功した。

バーストリートを歩く観光客を見ながら、ビールを飲む。これが旅の醍醐味の一つだ。

料金は17ドル。
評価は★4つ。



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