7.ラックンディ(Lakkundi)遺跡

イッタギからラックンディまでは、車で35キロ50分の距離。




イッタギからラックンディへ



イッタギを後にして、ラックンディに向かう。田舎道沿いの畑には、ヒマワリの花が咲いていた。



国道67号線に入り、舗装されたばかりの道を快調に走る。


ラックンディ(Lakkundi)



ラックンディ村は、今はインドの一寒村にすぎないが、千年前には大きな宗教都市だった場所だ。



■ラックンディ(Lakkundi)



ラーシュトラクータ朝(9~10世紀)の支配を奪還した、年表⑦の後期チャールキヤ朝(11~12世紀)は、首都を北方のカリャーニーに置いた。

しかし、現在カリャーニーには何も残っていない。

後期チャールキヤ朝の寺院が最も多く残されているのが、このラックンディの村だ。

9~12世紀頃には、100近い寺院と沐浴場があったというが、現在は15ケ所ほどを残すのみ。



ラックンディ(Lakkundi)のヘリテージセンターの前の道路に車を停める。博物館で入場料200ルピーを払う。



博物館内は撮影禁止だが、このチャームンダー像だけはどうしても撮りたかった。すごい迫力だと思いませんか?


ブラフマージナーラヤ寺院(Brahma-Jinalaya Basti)



博物館の裏にラックンディで最も古く、最も美しいジャイナ教寺院といわれているブラフマージナーラヤ寺院(Brahma-Jinalaya Basti)がある。11世紀に建造された寺院のシカラは、南方型と北方型の中間型である。



寺院の入り口を望む。前方のオープンマンダバには深い軒の出の屋根がかけられている。



マンダバの入り口。



マンダバから、聖室を望む。聖室内には、裸形の祖師であるティールタンカラ像が祀られている。



聖室の左側には、女神像が置かれている。この像と右のブラフマー像の台座は、何とヨニの上に置かれている。



聖室の左側には、ブラフマー像が置かれている。この寺院の名前に、ブラフマーの名前が付けられている。ジャイナ教と、ヒンドゥー教の神との関連はどうなっているのかな?と思った。



南方様式のパラペットには、ティールタンカラ像が彫られている。



向かって右側の建物は後に造られたらしい。頭がとられた像が鎮座している。



ヒンドゥー教のシヴァ神殿にある、マカラのソーマスートラ(Somasutra)と同じものがあった。



白い牡牛像はシヴァ神の乗り物ナンディを彷彿とさせる。ティールタンカラ像が置かれてなければシヴァ神殿だと間違う・・・


カーシーヴィシュワナータ寺院(Kashivishwanatha Temple)



カーシーヴィシュワナータ寺院(Kashivishwanatha Temple)はラックンディで一番美しい彫刻で飾られている重要な寺院。

この寺院の配置は独特の構成をしている。左側にシヴァ祠堂が建ち、その横にマンダバが建っている。マンダバの横には、オープンマンダバが建ちその横にスーリア祠堂が建って一連の建物で寺院を構成している。その為、マンダバは東と南に扉口を持つ。



カーシーヴィシュワナータ寺院に入るのには、先ほどの博物館で購入した入場券が必要だ。係員がいて扉を開けてくれる。



左側にシヴァ祠堂が建ち、その横にマンダバが建つ。シカラは北方型をしている。



カーシーヴィシュワナータ寺院の精緻な彫刻。先ほどのイッタギで素晴らしい彫刻を見ていたから驚かないが、本当に素晴らしいものだ。リンテルは、お馴染みの「ガジャラクシュミー」の図柄だ。



聖室内にはシヴァリンガが、安置されている。



マンダバの天井には精細な蓮の花が彫られている。



マンダバ内部には、精緻な彫刻がなされたろくろ成形の4本の円柱が建っている。



聖室の入り口上部のガジャラクシュミー像。



後期チャールキヤ朝からは、壁面彫刻にキールティムカ(鬼面)が多用されている。


ナンネシュワラ寺院(Nanneshwara Temple)



カーシーヴィシュワナータ寺院の道を挟んだ所に、ナンネシュワラ寺院(Nanneshwara Temple)がある。この寺院には、オープンマンダパがついている。この寺院は、カーシーヴィシュワナータ寺院が建てられる前にプロトタイプとして建てられたらしい。



シカラの彫刻には、キールティムカが彫られている。彫刻はカーシーヴィシュワナータ寺院と比べると劣る。



オープンマンダバには、ろくろ成形の4本の円柱が建っている。



聖室にはシヴァリンガが祀られ、入り口上部にはガジャラクシュミー像が彫られている。柱の彫刻は未完でプロトタイプ説を裏付ける。



オープンマンダバのろくろ成形された円柱と、右端にはカーシーヴィシュワナータ寺院が見える。


マニケーシュワラ寺院(Manikeshvara Temple)



博物館前から車に乗り、マニケーシュワラ寺院(Manikeshvara Temple)に向かう。ここには、小さな寺院と素晴らしい階段池がある。



マニケーシュワラ寺院はシヴァ神を祀っている。



階段池の橋の上からオープンマンダバを望む。



マニケーシュワラ寺院のマンダバと聖室のナンディとシヴァリンガ。



階段池越しに寺院を望む。



階段池を跨ぐように、石組みで造られた橋がかけられている。



正面には、階段池を跨ぐ石組みで造られた橋があり、マンダバの正面につながっている。階段池には、橋の奥の階段と他に左右の二面の階段があり、所々に小さな祠堂が設けられている。



階段池は、池の水が枯れて底の岩盤が露出していた。素晴らしい迫力の池にしばし見とれる。

この寺院への道は狭く、入り口近くには「ふうみん」たちの車の他にもう一台いた。「yayo」がバックして車を入れ替える時、もう一台に乗ってきた紳士然としたインド人の見学者が話しかけてきた。「日本人か?」と尋ねて来、「そうだ」と答えると、「日本人はナイスだ。この寺院の階段池は、カルナータカ州で一番素晴らしい階段池だよ」と述べた。

「ふうみん」は、こんなインドの片田舎にまで、自ら車を運転して来た東洋人が「日本人」だと認識された事が、何かとてもうれしかった。今、シェムリアップに行くと中国人と韓国人の天下だからね。


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イサーンの大地走行2000キロプラス ハンピへの招待
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