10、小説

題名 バンコク楽宮ホテル
著者 谷恒生
出版社 徳間文庫
発行日 1999.02.05
定価 440円
★喧燥と異臭、猥雑の入り交じるバンコク・チャイナタウンのはずれに建つ楽宮旅社。一九八〇年、そこはラオス難民や娼婦や、マリファナと酒と倦怠の時を求めて淀む日本人若者の定宿でもあった。…日本の都会の人間関係を逃れ、戦闘の続くアジアの片隅にひっそりと息づく若者たちを描く作品。

★フリーライターの「フグやん」のキャラクターが印象深い。80年代のバンコクの安宿の空気が良く分かります。


題名 愉楽の園
著者 宮本輝
出版社 文藝春秋
発行日 1989.03.20
定価 1300円
★熱い水の都バンコク、運河の畔で恋におちた男と女をつつむ、甘美な陶酔、底知れぬ蠱惑のなかに心と風土のかかわりとらえて文芸作品に新しい世界をひらく作品。 

★こんなにも繊細で優美で、混沌と喧騒と官能的なバンコクの情景を描いて、普通のライターとの表現力の圧等的な違いに驚かされる。宮本輝の物書き(小説家)の筆力と才能に脱帽したお薦めの一品。


題名 海王伝
著者 白石一郎
出版社 文春文庫
発行日 1996.04.30
定価 560円
★97回直木賞を受賞した「海狼伝」の続編として書かれた作品である。海の狼から海の王に成長していく主人公「笛太郎」の活躍を、実父のバンコクは明国の海賊マゴーチとの宿命の対決を通して、海に生きる男の夢とロマンを描いた「自己形成小説」の側面を持つ作品。

★チャオプラ川はシャム湾とアユタヤを結ぶ重要な海路だった事が分かる。


題名 風雲児 (上)、(下)
著者 白石一郎
出版社 文春文庫
発行日 1998.01.10
定価 各476円
★慶長15(1610)年、駿府で生まれ育った山田長政はシャムのアユタヤに渡った。シャムの女性と結婚し国王の親衛隊で頭角をあらわし、やがて日本人でありながら、シャムの王族にまで登りつめた山田長政の波乱の生涯を描いた作品。

★この小説を読んでアユタヤに行こう!アユタヤの遺跡が違って見える。
★この項を書いている時「白石一郎氏」の訃報に接した。2004年9月20日死去。享年72歳だった。


題名 バンコク喪服支店
著者 深田祐介
出版社 文藝春秋
発行日 1987.07.20
定価 950円
支社長の人柄の反映して万事がタイ風に和気あいあいだった、三愛レイヨンのバンコク支社。そこへ東京本社から、野心満々の新しい役員が着任した。タイの流儀を無視する彼に、現地社員たちは硬化し社内の雰囲気も激変。そして遂に大事件が…。
日本の海外進出企業が現地で直面したトラブルを軽妙に描いたビジネス最前線小説。


題名 ビーチ
著者 アレックス・ガーランド
出版社 アーチィストハウス
発行日 1999.01.20
定価 1600円
イギリス生まれのリチャードは、ベトナム戦争の映画への憧れを胸に、アジアを旅している。タイのホテルで隣り合わせた奇妙な男が遺した伝説の楽園「ビーチ」を探しだそうとしたリチャードが辿り着いた所は…。

★レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」の原作。ファランの見たタイの描き方に違和感を覚え、また映画を先に見た事でストーリーが分り1/3程読んでやめました。


題名 王道
著者 アンドレ・マルロー
訳者 松崎芳隆
出版社 集英社
発行日 1979.12、25
定価 980円
★かつてインドシナの地にアンコールワットやアンコールトムを造営し繁栄を誇ったクメールの王国―“王道”とはそこに存在した道路である。巨万の富を求めて密林の奥深く古寺院を探して分け入るクロードとペルケン。悪疫、瘴気、そして原住民の襲撃。マルロー自身の若き日のインドシナ体験を基に、人間存在と行為の矛盾を追求した不朽の冒険小説。

★「ふうみん」はこの本を読んで、カンボジアとタイの国境上の「王道」にある「タームアン遺跡」に憧れ、そして行った。