3、台湾>萬華・龍山寺>1986・11


龍山寺にて、少しでも頭が良くなるようにと
線香の煙を浴びる「ふうみん」と
後姿はそんな事は不要な「よこはま」さん
1992年1月の三回目の龍山寺訪問時に、
極彩色の境内の柱に見入る「ふうみん」
一塊の石を数年がかりで彫り上げたものだ





台北の中心は萬華(ワンホワ)だろう。そこに、清の時代に大陸からの移民の手で作られた龍山寺(ロンサンスー)という廟があり、ここの門前町として発展して来たのが萬華である。

龍山寺の境内を入ると極彩色の世界だ。そこにある柱は、一塊の石を数年がかりで彫り上げた見事なもので、その出来ばえには思わず見入って仕舞う。

ここの一角の「華西街」が好きだ。浅草の仲見世を思わせる通りには、毒蛇屋の「亜洲毒蛇研究所」、オランウータンのいるすっぽん屋の「亜洲鼈店」、上半身裸の筋肉ムキムキ男がパフォーマンスを行う強精剤屋の「天信堂」、得体の知れない薬草を売る店などなど。

異様な熱気をかもし出す、まさに異次元ゾーンの観光夜市が存在した。

この一角にある「海鮮料理屋」には、台北に行く度に通った。店の名は「台南担仔麺」といい、外見は汚いが店内は白に統一され、食器はウェッジウッドを使用していた。そのアンバランスがいかにも台湾らしかった。

1999年。久し振りに、台湾が初めての友人二名を伴って訪問した。しかし、あの異様な熱気はすでに無く、オランウータンも筋肉ムキムキ男もいず、祭りの後の繁華街といった感じで、昔の熱気を知るものとしてはすごく失望した。

この、龍山寺門前の土産物屋の一画は再開発事業で整地されており、この萬華も数年後には大きく変貌するだろう。それとも、もうすでに変貌し、あの異次元ゾーンは姿を消したかも知れない。