旅を終えて



是川遺跡の縄文土器。この土器ような生命力溢れる力強い創造性を、復興に生かしてほしい。




何も無い空間の怖さ
「旅のはじめに」でも書いたが、「ふうみん」は阪神大震災の被災者であり、震災直後から神戸の街を走り回った。

倒壊したり傾いたりしたビル群や高速道路、焼け落ちた長田の商店街、キープされた酒のボトルが割れアルコールの臭いが漂う繁華街の東門街。その悲惨な体験を持つ「ふうみん」も、東日本大震災の現場では言葉を失った。

それは、コンクリートの土台しかない建物の跡だ。あれから2年半、訪れた9月末から10月始めにかけては雑草が生い茂り、唯一残された土台の跡さえも隠している。見渡す限りの雑草の原っぱからは、震災前の家並みの情景を想像する事は出来ない。

「阪神大震災」では、倒壊した建物はそのまま瓦礫として残った。しかし、「東日本大震災」の被災現場では、土台と雑草の原っぱが残ったのみで、空白の空間が広がっている。

「ふうみん」は、その情景を見て…何も無い空間に恐怖さえ覚えた。

復旧は著に付いたばかりだ。人口減のこれから緩やかに衰退する日本にあって、どう復旧だけでなく復興して行くのだろうか?とはなはだ悲観的な将来像を思い浮かべるのみ。
2013年10月
「ふうみん」



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