旅を終えて



「金子みすゞ記念館」近くの「星とたんぽぽ」の詩の壁画




旅の車窓から見えたもの
今回の旅の楽しみのひとつが、山陰本線の車窓から眺める日本海の海岸線の情景だった。特に下関から仙崎までは「みすゞ潮騒号」が運行しており、指定席が海側に向けて設けられていたので、車窓から日本海の絶景が満喫できた。

一月中旬の山陰本線には珍しく快晴の天気であり、心置けない友人と一杯やりながらの列車の旅は最高で、改めて日本の風景の素晴しさを実感した。また、出雲から松江間の一畑電鉄の車窓風景も楽しかった。

しかし、楽しい車窓風景ながら、次の二点が気になった。
車窓から眺めただけだが、山陰の海岸線の漂着ゴミの多さに驚いた。このゴミは、中国や韓国からのプラスチックの漂着物だと思う。なぜならば、日本列島の他の地方の海岸線には見られないからだ。
風光明媚な山陰地方の海岸線を、元のような綺麗な海岸線に取り戻すのは、どうしたらいいのだろう。
一畑電鉄の車窓から眺める、出雲地方の築地松と散居の織り成す景観は40年前の旅の脳裏に焼きついている。
今回の旅で、この築地松の家屋は少なくなったばかりでなく、手入れもされてない所が多く感じた。松くい虫の被害や築地松を剪定する人手不足や疲弊する地方の経済問題であると思うが、この景観消滅への危機は、日本の直面する危うさを象徴するように思えた。
4泊5日の40年ぶりの旅は、懐かしい青春の思い出を甦らせてくれた楽しい旅だったが、現在の日本の直面する中国・韓国の経済発展の追い上げや、地方の疲弊・過疎化の病巣を改めて問題提起してくれた旅でもあった。
2012年2月
「ふうみん」


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