伊那市創造館
(20-10)


「伊那市創造館」は、昭和5年創建の旧上伊那図書館をリニューアルし、「市民の学習と交流の拠点施設」としてオープンした。

基本設計は森山松之助、実施設計は黒田好造の手による上伊那地方に現存するもっとも古い鉄筋コンクリート建築物。

伊那市創造館では、日本で最も美しいといわれる神子柴遺跡出土の石器と、縄文時代の精神世界を不思議な造形美で表現する顔面付釣手形土器、この2件の国重要文化財を常設展示している。



・見学日 2022年11月30日


伊那市創造館には、駐車場がなく近くの市営駐車場を利用する。

創造館には2つの重要文化財がある。「顔面付釣手型土器」と「御子柴遺跡出土品」だ。


顔面付釣手型土器
重要文化財

御殿場遺跡出土

縄文時代中期


この土器は、煮炊きに使う土器よりも分厚く丈夫に作られていたため、壊れずにほぼ完全な状態で出土した。


顔の付いている表側と裏側の造形が大きく異なるのが特徴で、紐状の粘土でつくられた模様は女性の髪の毛を表現しているのではないかと言われている。

左右には大きな五本の指のような部分が形作られている。

どのような目的で作られたのかは、わかっていない。


顔面把手付大深鉢
伊那市有形文化財

月見松遺跡出土

縄文時代中期中葉



土器の上部に環状の把手があり、その両側に半円形の浮文で乳房を表している。

土器の中心部、円形の浮文は「ヘソを示す突起」または、「生まれ出る赤ちゃん」が表現されている、と、考えられている。


土偶

月見松遺跡出土

縄文時代中期初頭



縄文時代中期初頭の土偶は、上伊奈では6点しか出土していない。

この土偶は、お腹とお尻が大きく表現され、妊婦を表している。


上記の土偶は、「つきミン」と愛称が付けられた。


左、土器

月見松遺跡
縄文時代中期


中・右、土器(埋甕)

御殿場遺跡
縄文時代中期


「神子柴遺跡・重要文化財」は、1万5千年前の遺跡。

6メートル×3メートルの狭い範囲から、完成された石器がまとまって出土した。

大型のものが多く、刃の部分を磨いた石斧や、両面を加工した尖頭器など、非常に高い技術で作られている。


出土品は未使用の石器が多く、意図的に配置されたような出土状態や、石材の産地が広範囲にわたっている。

遺跡の性格をめぐって、「祭祀場説」「墳墓説」「デポ(埋納)説」「住居説」などの多くの説が唱えられている。


神子柴形尖頭器。 下呂石:岐阜県、黒曜石:和田峠



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