イサーンの大地走行2000キロプラス チャンパ遺跡への招待 INDEX
銀塔


丘を登って行くと、左側に主祠堂、宝物庫、碑文庫。少し離れた右側に楼門の4つの建物が残されている

遺跡名
銀塔 (Banh It)
様式 ビンディン遺跡群 (Binh Dinh)
創建年代 11世紀
場所 ビンディン省アンホン県アンホン社
入場料 1ドル(2人分)
配置図 「チャンパ王国の遺跡と文化」より
コメント
概要 銀塔はバンイットと呼ばれ、ハータン川の河口近くの丘の上に建っている。銀塔はチャム美術史の中で、クアンナム様式とビンディン様式をつなぐ中間にある。

11世紀初頭に王都がチャキェウから、ヴィジャヤ地区のチャンバンに遷都されて直ぐに建立された。その、ヴィジャヤ地区の中心に位置する重要な遺跡だ。

丘を登って行くと、左側に主祠堂、宝物庫、碑文庫。少し離れた右側に楼門の4つの建物が残されている。パルマンティエによると、このほかにも幾つもの建物があったようだ。

主祠堂と楼門の間にはニャチャンのポーナガール遺跡の列柱殿に似た屋根瓦の建物があったという。
行き方 クイニョンから北に18キロ地点にある。1号線と19号線のハギ交差点を右折して300メートルほど走る。
一口メモ この遺跡は、緑色の草木と水色の空の間にレンガ色の建物が映える「ふうみん」の大好きな構図だ。それで、INDEXの写真も銀塔を使用した。

南に位置する碑文庫には四方に大きな出入り口があり、扉の設けられた形跡はない。

入り口上部に破風はなく、迫り出し構造が剥き出しとなっている。

チャンパ遺跡の中の碑文庫で完全な形で残っている唯一の建物という。


宝物庫は舟形屋根がついた矩形のの建物で二つの部屋があり、北、南、東の三方向に入り口がある。

ミーソンの宝物庫の入り口は北側のみである。

身舎に施されたレリーフが美しい。


南側の入口には建物の強度を増すために、構造材としての砂岩のまぐさ石が用いられている。


柱形の間を埋める花葉文様はチャンパ建築の連続文様の伝統を受けている。


主祠堂(右)と宝物庫(左)。この両建築のある頂上のテラスは広い。

この建築はチャンパ芸術の傑作といえる。


主祠堂の高さは22mで、三層の屋蓋を持ち隅尖塔は独得の様式が用いられている。


主祠堂の南側の唐破風に装飾されたカーラマスクのレリーフ。

カーラの口から両側に花葉文様の帯が垂れ下がっている。

これは、12世紀のチャンパ建築の唐破風の特徴である。


主祠堂の柱型上を飾るダンスをする猿の連続文様のレリーフが面白い。


丘の頂上の主祠堂の前から、碑文庫越しにクイニョン方面を望む。建築された当時は、海岸線が今よりもっと銀塔に近かった。入港する船から銀塔の建物がよく見え、チャンパ王国の威光が感じられただろう。


楼門は東西に開いた二つの出入り口があり、両脇には偽扉がある。


楼門から主祠堂を望む。

楼門の迫り出し構造のフレームが劇的な効果を出し、当時の人々に王に威厳と偉大さを示したと感じる。


INDEX