旅を終えて




小さな村落の仏教寺院の境内にあるクメール遺跡の前に置かれた神像、仏像。
半壊したクメール遺跡のレンガの塔は、今も村人の生活の中に生きづいている。





一村ごとに、あるいは寺あり、あるいは塔あり。

街道に、休息所あり。

これは、周達観が1296年8月から1297年7月までアンコール都城に留まった後、元に帰国してから記した「真臘(しんろう)風土記」の「村落」の条の一文である。

この一文を読むと、「ふうみん」がイサーンの大地を走りながら垣間見た、現在の村落の風景と何ら変わらない様に思える。そこには、遥か700年の悠久の時間が経過しているにも拘わらずである。

アンドレ・マルローの「王道」に触発されて始まった旅は、周達観の「真臘風土記」で終る。

振り返ってみると今から2年前の夏。タイのガイドブックに「Moon River」の文字を見つけたのがこの旅のきっかけだった。それが、今回の旅で3回目になり、走行距離は実に7723キロにも及ぶ旅へと発展していった。けだし感慨無量である。

イサーンのクメール遺跡を巡る旅を終えて、この文を書きながらもう次の旅に思いを巡らしている。

さあ、次はどこに行こうかな?

2005年7月吉日
「ふうみん」




Back Index